本日ご紹介するのは「日記漫画 札幌の六畳一間」(根本尚著)です。
単行本なし、受賞歴なし、アシスタント歴なし、担当に会ったことなしの北海道在住の漫画家・根本尚の日常生活がディープに語られる!?
Amazonでこの作品のサムネイルがオススメとして表示された時、昭和の漫画の復刻版だと思いました。赤色エレジーみたいな世界?赤色エレジーってよく知らないけど。
えーと、全然違いました。普通に現代のお話です(笑)札幌の家賃二万円の六畳一間で暮らしながら漫画を描き続ける作者の日常を描いた日記漫画でした。木造30年の物件とはいえ、バストイレ付きでこの家賃は凄いなとまず思いました。現代と書きましたが2020年代ではなく、発売日の2017年5月26日という情報と、作中に出てくるイカ娘などのキーワードから想像するに、2010年代初頭から半ばまでのエピソードのようです。
漫画家の日常なので、確かに創作に関する内容が多いのですが、それを含めたとしても、コインランドリーやストーブ、激安米など、独身貧乏男子の生活メインになっていて、哀愁の中に笑いが詰まっている作品です。
作者の年齢は分かりませんが、就職や結婚など、実家からの圧力が描写されていないことを考慮すると、まだまだお若い方だと推察できます。この作品を何度か読み返していると、誰の本だったのかは忘れましたが、後書きか帯かに「青春とは貧乏だ」と記されていたのを思い出しました。
そうなんです、青春は基本的に貧乏なのです。貧乏がネガティブではない季節。貧乏でも許されるモラトリアム、それが青春なのです。貧乏を笑い飛ばせるパワーこそ若さだと言えます。残念ながらこの作品は1話4ページ、42話しか収録されていません。全然読み足りないです。読み足りないと読者に思わせるパワーもまた、若さが作り出す力だと思いました。
決してお洒落でもなく、かといって惨めでもなく、日々を生きる若者の少し眩しいエピソード。もちろんアンリミテッド対応!オススメです!