すべてはいつか終わってしまう。
僕の「物語」たちが、終焉に向かう記録。
終わりを記録した「All things must pass.」シリーズ第三弾。陳腐な表現だけれど、物語が集まって、人生になるのだろう。
この物語は僕の人生にとって重要か否か。
おそらく不要ではないけれど、重要でもなかったんだろう。
彼女にとっても、きっと同じ程度の意味しかもってはいない筈だ。ほんの一瞬だけの怠惰な時間。
そういう気怠さが表現できれば良いなと思います。第三弾は、写真のみで構成されています。
All things must pass.の第三弾、発売しました。
正直なところ、まだ試行錯誤の途中です。同じ名前ですが、1とはまったく異なる感じですね。2と3で、ようやくシリーズものの体裁が見えてきたような気もするのですが、人の心に響く編集が出来たとは、まだ言えない気がします。
このシリーズのテーマは、終焉の記録です。終わってしまった「何か」を、淡々と写真で表現できたらと思っています。いくつもの「終わり」を繰り返して、人生は構築されていくんでしょう。そういう意味では、本当に「終わった」と実感した記録を表に出すのは、身を裂かれるようなもので、まだ手を出せずにいます。リアルすぎて痛すぎる終わりを、客観視することは、今の僕にはできません。その及び腰が、このシリーズのインパクトを弱めているような気もしています。
この写真集は、一年の記録です。ある一年間だけの軽薄で刹那の写真を集めています。人生において、意味のない記録かもしれません。そこには微塵も痛みはないのですから。
写真集に限らず、何かを発表して人に見て貰う時って、撮影や編集なんて作業以前に、思索力が大切だと思うんですよ。考えて考えて、それを形にしなければ、薄っぺらいものになってしまうんです。
この写真集は、作るまでの思索力が少ないので、本当に薄っぺらい内容です。でもそれはデメリットだけではないと思います。薄っぺらいからこそ、軽薄で刹那の、ほんの一瞬の邂逅が表現できるのも事実です。この写真集のモデルが微笑んでいるのは、確かに僕に対してですが、その微笑みは、親密でありながら、ひどく曖昧な笑顔なのです。互いの人生に、何の傷跡も残さない笑顔。
そういう取るに足らない出会いと別れ、別れさえも明瞭ではなく、気づけば何となく疎遠になっていた。そんなふわふわとした空気感を伝えられたら、成功かもしれません。