本日ご紹介するのは「フィルター越しのカノジョ」大箕すず著です。
つねに無表情な能面高校生・箱部成海。クラスでも存在感激うすな彼の人生の楽しみは、SNSで人気のえっちな自撮り女子「えふぁ」の投稿を追いかけること。しかし、その「えふぁ」の正体が、真面目で誰からも好かれるクラスメイトの三葉琴であることを知ってしまいーー!?鉄壁自撮り女子×能面男子のちょっとえっちな青春自撮りラブコメ開幕!!
ボーイミーツギャル(正確には三つ葉はギャルではなく真面目な陽キャなので、ボーイミーツ陽キャでしょうか?)モノです。前回の更新で散々食傷気味だって言ってた癖に、またこういう作品をチョイスする自分に呆れてます。
あらすじにある通り、能面とあだなを付けられた成海は、幼稚園時代のトラウマがきっかけで、無表情の陰キャになりました。そんな彼の楽しみは、自撮り女子「えふぁ」を推すことなのですが、とあるハプニングによって、教室で隣の席に座る、憧れの三葉琴がえふぁであると気づきます。琴もバレたことに気づいて、そこから始まるちょっとえっちなラブコメ作品。見事な陰キャミーツギャル系テンプレ作品ですが、それがまた良いのです(笑)
秘密の共有ということで、琴は成海にセンシティブな撮影を強要します。もっとも強制の理由は、成海に撮ってもらった方が、良い写真が撮れると気づいたからです。そんな中、成海を能面にした幼なじみが同じクラスに転校してきます。いきなり仲良く振る舞う転校生に成海だけでなく琴も翻弄され、琴は自分の恋心に気づいてしまいます。
コミックだと1巻以降になるのですが、琴の心の変化を丁寧に描写するためか、秘密の撮影の描写は、少し控えめになってきます。だからこそ久々に遠足で行った観覧車内での撮影は、今まで以上に良い感じに描かれています。このエピソード、ここまでのピークですね。成海への想いに気づいて初めての撮影だったってのもポイント高いです。
まだ連載中の作品で着地点は見えないのですが、3巻まで読んだ限りでは転校生の南も琴と仲良くなり、緩い三角関係が始まりました。
この作品の不思議なところは、琴の自撮り(成海が撮ってるのでもう自撮りではない?)が、物語が進行するにつれて、重要視されなくなったことです。確かにずっと自撮りシーンが続けば冗長になるのですが、本来物語の核となるアイテムだけに、なぜ切り捨てたのかが疑問です。
不思議だと感じたのは、その核を切り捨てた(完全になくした訳ではない)状態でも、物語として面白いというか、何かしらの牽引力を持ち続けている点です。それがテンプレとか王道を貫きながらも、この作品が他と違っているから感じる種類の牽引力かもしれません。
その正体を見極めたいので、3巻以降も見ていこうと想っています。
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