本日ご紹介するのは「流されて八丈島 女ひとりで島に移住しました。」(たかまつやよい著)です。
東京から南へ287kmの八丈島。都会ぐらしの漫画家が、それまで行ったことのない島に、完全ぶっつけ飛びこみで、ペットとともに移住しました! そこは大自然、おいしい食べ物、気のいい人びとに囲まれた見事な南国!台風が大変だったりするけれど、めげずにそれも漫画のネタに!島のいろいろを取材して楽しんで、そして今日も島をゆく!人気コミックエッセイ『流されて八丈島』が移住10年を機に、装いをリニューアル。ページ数も増え、10年の歩みを振り返りつつ、楽しい島ぐらしぶりをたっぷりとお届けします!
もうタイトルがすべてを物語っていますが、特に縁もゆかりもない八丈島にひとり移住した作者の日常を描いた作品です。島暮らしのカルチャーショックや、島の生活が面白おかしく4コマになっています。
親切な住民たちとの触れ合いの中で、島に馴染んでいく作者の姿は、さすが移住10年選手なんだなと思います。
ただ読んでいて少し不思議なのが、島民とのトラブルが一切ない点です。一時期いわゆる「田舎暮らし」が流行ったじゃないですか?夢と希望を持って都会から田舎に移住した人が、住民とトラブったって話はよく聞いた筈なんですけど、そういうものが一切なく、八丈島はとにもかくにもあたたかい人しかいない島だと表現されていることに、ちょっと邪推しちゃうんですよね。
まぁそういったネガティブな内容は描いていないだけなのかもしれませんが、このエッセイコミックが真実だとすれば、それは非常に素晴らしいと思います。本当にここに描かれているのが八丈島の人たちの姿であれば、それは筆者の人柄もあるのでしょう。トラブルに発展する人って、移住しても我を通した結果という側面もあるようですし。きちんと「島で生きていく、お客さんではない」という姿勢が、きっと島民に受け入れられたのでしょう。
移住を考えている方も、移住なんて無理だけど田舎暮らししてみたいと憧れている方も、ぜひ手にしてほしい一冊です。作品の後ろに見えるかもしれない、作者の気持ちや決意を汲みながら読むとなお良いのかもしれません。