5年近く電子書籍を制作販売してきました。
まったくの手探り状態で4人の作家(自分を含むのでこの言い方は面はゆい)の本を作って売ってきましたが、求められるジャンルというのは、おおよそ見えてきました。
作家が表現したいものを作らなければ、インディーズであるMamegohan Digital Publishingの存在意義は皆無になってしまいます。しかしながら売り上げを確保せにゃならん懐具合を考えると、世間様に迎合する姿勢も致し方なしではないでしょうか?
各出版物の販売数ですが、もちろん最初期に出した本が累計では多くなる傾向にあります。それを差し引いて発売日半年後の売り上げを見ると、ジャンル別に順位が付けられると気付きました。
発売後もコンスタントに売れ続けているのは「西成 candid / GR biyori」です。圧倒的1位。
私小説のような写真文学を宣言するGR biyoriの出版物の中で、唯一感想や想いを排除した一冊なのが特徴です。もちろん西成という日本屈指のカオスに対する興味が売れている最大の理由でしょうが、まったく違った作風が一番売れている事実は興味深いと思います。
ここで分かるのは二点です。
①ドキュメンタリー、あるいは「西成」の放つインパクトは強い。
②作家が自称する「写真文学」は世間的に求められていない。
①については西成に関する写真集やルポは他にもあり、相乗効果で売れている面もありそうです。「西成」というワードで同じ土俵にあることで、ついでにこっちも読んでみるかと思われる方も多いのでしょう。ここでの強みは本作がアンリミテッド対応で、大きく表示されている0円の文字ではないかとも推測しています。
②については敗北感しかありません(笑)
単純に売り上げを伸ばすのであれば「西成本」を出すのが手っ取り早いのでしょう。幸い往復はしんどいけれど、片道だったら歩ける距離にあいりん地区はあります。めんどうに思わなければ、毎日通うのも不可能ではありません。
ここで重要なのは「西成candid」の二番煎じではなく、プラスアルファの内容じゃないとダメだってことです。安易な西成本を出せば、飽きられる以前にMamegohan Digital Publishingそのものの信用を失いかねません。
プラスアルファのヒントになるのは「西成candid」の次に売れているシリーズです。
「西成candid」の次に売れているのは「おっさん飯」シリーズです。ということは「西成」+「グルメ」のハイブリッド本!これこそ次の売れ筋でしょう!
しかし少し前からYouTuberが西成のやまき辺りを紹介してますけど、そんな言うほど紹介できる店がないのも事実です。確かに居酒屋の成り屋さんとか鶏焼肉のスタンド八とりさん、最近移転してきたすし香さんなど、美味しいお店もあるんですけど、一冊にするほどお店を知らないんですよね。飛び込みで入った店の多くが、二回目はないなーって感じなんで。
そう思うと安直な西成グルメ本は現状では現実的ではないようです。この先、素敵なお店を増やしたら考えても良いでしょうけれど。
ではグルメ以外の西成に何があるのか。西成以外にドキュメンタリー的な意味でフォトジェニックな街はあるのか。これらを精査していけば、新たな売れ筋が作れそうな気はしています。