「電子書籍リーダー/所有率」などでネット検索すると分かるが、Kindleなど専門リーダーの普及率は、非常に低いことが分かる。知人でもKindleを持っているのは六人しかおらず、しかもそのうち日本人はたったの一人だ。そういう私自身、電子書籍を作っているのに、Kindleを持っていない(一応Amazon Fireで動作確認しています)
電子書籍のコンテンツは確実に増えているのだが、ハードの方はスマホやタブレットのアプリが主流というのが現状だろう。専門リーダーは近い将来淘汰されるかもしれない。
このようにハードの未来は散々な状況だが、ソフトの方は着実に普及している。最近では紙の本と電子書籍が同時発売される作品も少なくない。
それでは個人出版という点では、電子書籍には、どのような未来が待っているのだろう。
昔から個人出版・自費出版というものがある。小説を書いている人、写真を撮っている人など、どうしても自作を「本」にしたいと願う人たち向けのサービスだ。もちろんほとんどの場合、単に書籍化するだけで、本となった小説や写真集が流通に載って、書店に並ぶことはない。知人に配ってお終いという感じだ。
この点、Kindleでは出版したものをAmazonで販売できる。従来の自費出版のように、出来た本を郵送しなくても、出版しましたとアドレスを伝えるだけで、見てもらうことが可能なのだ。
Kindle本を見ていると、どの分野でも、大きく分けて三つの本に分類できる。
- 出版社が出した紙の本を電子化したもの
- 個人が出しているが、クオリティの高いもの
- 個人が出していて、クオリティの低いもの
最後のクオリティが低いというのは、内容ではなく(内容の場合もあるが)デザインなどの専門知識がない人や、編集ソフトを使っていないものを指す(実際、ワードでもKindle写真集は作れるのです)
一応Mamegohan Digital Publishingは、二番目の「個人が出しているが、クオリティの高いもの」を目指しているが、写真集に限ってはKindleでは他の分野よりも「個人が出していて、クオリティの低いもの」の割合が多いような気がする(あくまで個人の感想です)
これは電子書籍でも良いから、どうしても写真集を出したいと願う層が、ある程度いるという証拠だろう。
デジタルカメラの長足の進歩と普及、さらにスマホ内蔵カメラの高性能化に伴って、写真というものは、かつてないほど身近な存在になっている。写真を撮ってる人間を分類すると下のグラフのようになるだろう。
この中で自費出版に興味があるのは、ハイアマチュア、アマチュアのデジタルカメラを所持する層ではないだろうか。デジタルカメラでは撮影以上に、編集やレタッチの技術が必要になってくる。当然それにはPhotoshopなどのソフトが必要で、Adobe製品を使える人だと、相対的に技術力も高い人が多くなる筈なので、彼らが出す写真集は先の分類上、真ん中の「個人が出しているが、クオリティの高いもの」になるだろう。
ではスマホユーザーや写真集を出したいと思わないユーザーは、どうやって写真を発表しているのだろう?撮った写真を見せたいと思うのは、カメラを手にする人のほとんどが持つ想いだろうが、スマホユーザーに同じ気持ちがあるかと問われれば、それは疑問だろう。
写真とは個人的なものだ。スマホで気軽に撮るならなおさらだ。勝手な憶測だが、圧倒的なのは「見せたいとは思っていない」ユーザーではないだろうか?スマホユーザーで写真を見せたい人は、おそらく電子書籍で写真集を作るなんてまどろっこしい方法は取らず、インスタグラムを使うだろう。
やはり写真集を出したいと思うのは、カメラを所有している層に限られるのではないだろうか。その中でも、自分の想いに技術が追いついて来ない層、たとえばPhitoshopでもPhotoshop Elementsを使っていたり、Photoshopを持っていても使いこなせない人に対しては、写真集製作代行というのは、意味があるサービスだと思われる。
このサイトのメインコンテンツである「誰でも作れるKindle写真集」に書いてある通り、今や電子書籍は簡単に作れる時代だ。ほんの少し技術やセンスを磨くだけで、誰でもクオリティが高いものを生み出せるのだ。やはり写真は他者に見て貰って初めて価値を持つ。写真集制作代行は意味のあるサービスだと書いたが、個人がスキル(それもほんの少しだけ)をアップさせるだけで、そんなサービスは不要な環境は、既に整っているのだ。
そういう人たちが作った写真集があふれる時代を想うと、夢のようだ。私は数多くの、クオリティの高い電子書籍写真集を、これからも見たいと願っている一人だから。