これを書いてる6月5日、「AI」がTwitterのトレンドに挙がった。何だろうと気になって確認すると、生成AI画像は類似性が認められれば「著作権侵害」という文化庁の見解がPC Watchの記事になっていた。
文化庁と内閣府が5月30日に公開した「AIと著作権の関係等について」という文書を紹介する記事だ。→元記事はこちら
要約すると著作権について「AI開発・学習段階」「生成・利用段階」の二つに分けて考えるというものだ。前者は限度を超えず、著作権者の利益を不当に害さない場合、許諾不要であり、後者については私的鑑賞など著作権法で認められている場合を除いては、著作権の侵害に当たるというものだ。
エンドユーザーにとって関係するのはもちろん後者だ。敢えて喧嘩をする必要はないというか、関わりにならない方が良いと判断し、ミュートするだけで対処しているのだが、数ある筆者のTwitterのアカウントのうち、ギャルゲーとVTuberに特化した完全趣味垢に、今年になってAI画像を投稿する者が数名出てきた。
どれもギャルゲーのヒロインを元にした画像だ。キャラと同じ制服、同じ髪型で、誰なのかを容易に想像できる状態。しかも内容はゲーム本編ではあり得ないセンシティブなものだ。こういうAI生成画像を投稿した場合、今後はアウトということなのだろう。
エロも含めてファンアートを許容しているVTuberたちを除けば、二次創作でのAI利用は徐々に制限されていくことになる(VTuberたちもAIに生成させたものはタグを付けるなとか、AIと分かるようにしろとの「お気持ち」をかなり前に表明してはいる)
では巷に溢れている手描きの二次創作との違いは何なのか。今後はセミナーの開催などを通して速やかに普及/啓発していくほか、知的財産法の学者や弁護士などを交え、文化庁においてAIの開発/生成物の利用に当たっての論点を速やかに整理し、考え方を周知/啓発していくとしているが、結局は使う者のモラルが問題なのだろう。
昨今のAI生成画像問題は、二次創作というジャンルそのものをもう一度考える機会なのかもしれない。またそう遠くない未来には、実在する芸能人や著名人そっくりの画像をAIは生み出すだろう。今筆者の周囲でAI生成画像を作っている者は二人いる。一人はこの記事や、先日の「AI生成画像をKindleで売る?」で画像を使用させていただいた方で、見た通りオリジナル画像を作っている。もう一人はアニメやゲームキャラを模したエロ画像を生成している者だ。こいつは稼ぐなら今が最後のチャンス!だと言いながら、せっせと日夜画像を生成し販売している。
AIの特殊性ばかりが問題になっている印象だが、問題は著作権の侵害だ。この意識については、モノを創る者とそうでない者で根本的に違う印象受ける。もちろん前者が全員他人や他人の作品を尊重しているとは言わない。ただ言えるのは、AIだろうが手描きだろうが、他人の著作物に敬意を払わない者はクリエイターではないということだ。また漫画村のような違法コピーはコピー元の文化そのものを消滅させる。AIなんて無関係だと思っている人がまだ大多数だと思うが、著作権について考えるきっかけになればと願ってはいる。それがどんなジャンルであっても、違法コピーにだけは手を出さない矜持を持ちたいものだ。