今回ご紹介するのは「山と食欲と私」信濃川日出雄著です。
27歳、会社員の日々野鮎美は、「山ガール」と呼ばれたくない自称単独登山女子。美味しい食材をリュックにつめて今日も一人山を登るのでした。欲張りウィンナー麺、雲上の楽園コーヒー、魅惑のブルスケッタ、炊きたてご飯のオイルサーディン丼等々。読むとお腹がすく&山に登りたくなる! WEBマンガサイト「くらげバンチ」で最速で100万アクセスを突破したアウトドア漫画の決定版誕生!
この作品は数年前には知っていたのですが、どうしても手に取ることが出来ませんでした。
ものすごく個人的な理由なんですけど(笑)
作者、信濃川日出雄氏を知ったのは15年以上前です。当時の作者はデビューしてまだ数年の駆け出しだったのですが、偶然読んだ初めての連載「fine.」に衝撃を受けました。
芸術大学を出て、その後売れもしないデラシネアートライフを送ったことのある方には、吐きそうなほど刺さる作品で、あまりの刺さり具合に再読することがメンタル的に無理な状況(今も無理)という、ぼくにとってはとんでもないモンスターコミックでした。
「fine.」は万人受けする作品ではありませんが、ある種の覚悟を持たないと読めないほど、刺さる人間には刺さる作品でした。
その作者が売れ線の作品を世に送り出した。しかも女子が主役のアウトドア。時流に乗れたのか売れちゃってる。
正直戸惑いました。
打ち切りになった「少年よギターを抱け」までの作風を見て、もっとハードな作品を期待していたので、肩すかしを食らった感もありました。
でもそれはあくまで個人的な感想でした。
読んだら面白かった(笑)フツーに面白かった。
基本的に「山ガールではなく単独登山女子を自称する主人公が、山に登って山頂で食欲を満たす」というテンプレです。なぜ山に登るのか、なぜ一人で登るのか。そんなことを時々自問しながら、シンプルで美味しい物を食べる物語。
深刻でないから軽く読めて、食べる料理も美味そうなのに自分でも作れそうな簡単なもの。こりゃ人気も出るわって感じです。
昔の作者を知っている人には肩すかしかもしれませんが、アウトドア系女子の作品好きな方にはオススメです!