本日ご紹介するのは名作「それ町」こと「それでも町は廻っている」石黒正数著です。
人情あふれる丸子商店に存在するメイド喫茶(カフェではない)「シーサイド」。ありふれた町のちょっとおかしなメイド喫茶を舞台に繰り広げられるドタバタ活劇!
2005年から2016年までヤングキングアワーズにて連載され、第17回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、第49回星雲賞コミック部門を受賞しています。
大田区の下町・丸子で育ったどこまでもポジティブでどこまでも天然ボケな女子高生、嵐山歩鳥を中心に、彼女の周りで起きる日常の出来事を中心に描いていく日常コメディーです。日常コメディですが、宇宙人や死後の世界、その住人なども登場します。
ただ宇宙人も天国の人々も、1エピソード限りで、それを含めた歩鳥の「日常」を描いた作品だと言えます。
この作品の面白いところは、一つ一つのお話が、時系列を無視している点です。今回ご紹介するアンリミテッド対応無料枠の2巻までは時間のシャッフルはありませんが、巻が進むにつれてこの作風は顕著になります。
時間がバラバラの物語が展開されますが、作中ではいつの話なのかは、ほぼ明言されません。教室のプレートに書かれている学年や、歩鳥の髪型などをヒントに読み解くしかないのです(他にも弟と妹の学年や、先輩が在学しているか否かなど、よく読めばヒントはあります)
このような拙い説明では「何の意味があるの?」と思われるでしょうが、時系列がバラバラということは、あるエピソードを読みながら、これって以前のあの話の影響だったのか!みたいな感じで、突然の伏線回収が起こってしまうのです。この伏線回収が「それ町」の最大の魅力だとも言えます。
他にも
初登場だと思われていた人物が以前にも背景の通行人として登場していたり、ちょっとしたアイテムやセリフが別の回で重要なキーとなっていたりと、遊びのある伏線的な要素が多く散りばめられている。
wikiより
というような面白さもあります。亀井堂の主人、静さんも12話で既に登場しています。
もちろん、頭を使った伏線回収探しではなく、単純に一話完結のコメディとしても十分に楽しめる作品です。シンプルにポジティブでアホな歩鳥の行動だけで笑えてきます。
連載終了から既に7年も経過していますが、Kindleでは2巻までアンリミテッドで読むことができます。続きが気になった方は、残りの巻も購入してみてください。
また2010年にはアニメ化もされました。こちらもprimeビデオで視聴できます。