本日ご紹介するのは「給料日のグルメ」楠本哲著です。
誰もが楽しみな給料日!!
真面目一徹サラリーマン・神藤は双子が生まれ倹約モードであったが、妻の計らいで給料日だけちょっとした贅沢なひとり飯を楽しめる事に!!老舗洋食屋のエビフライ、ふぐちり、コースのもつ焼き、Tボーンステーキなど自分へのご褒美の食に舌鼓!!
この作品を読んで、会社員時代の先輩を思い出しました。彼は社内報の4コマ漫画になるほどの有名な恐妻家でした(台風が接近する大雨の中、竹林に行って七夕用の笹を切ってこいと命じるような、なかなかアンタッチャブルな奥様でした)
そんな彼のお小遣いは、まさかの月額1万円。40代のオッサンが月に1万円。同僚や部下を連れて飲みに行くことはもちろん、日々のランチにすら困る金額です。彼は職場近くのスーパーで1玉10円で売っているうどんを買ってきて、昼食にしていました(彼の勤務する支店近くに、大阪では有名な激安スーパーがあったのが幸いでした)
同じスーパーで買ったメーカー不明の激安めんつゆを湯で薄めてダシにして、毎日うどんの生活です。そして給料日のみの贅沢として、コンビニでおでんを購入、汁をたくさん入れてもらって、そこにうどんを投入していました。昼時に支店に行くと、給湯室でうどんに湯を掛ける彼を目撃して悲しくなったものです。
娘さんが私立の中学に通い、マイホームのローンがあるとはいえ、上場企業の支店長です。あと5倍は余裕で小遣いを使える筈なのに、彼は愚直に嫁さんの言うことを聞いて、結婚したその月からずっと1万円でやりくりしていたのでした。
そんな彼とは真逆の優しい奥さんを持つ神藤が本作の主人公です。双子に恵まれて幸福な倹約生活に入った彼に、優しい奥様が給料日だけの贅沢を許してくれるグルメ漫画です。月に一度とはいえ、美味しいものを心置きなく楽しめるのは、奥様のおかげというか、夫婦仲が円満なことの副産物でしょう。
紹介されている内容はどれも1万円以下で楽しめる内容です(妻とのデート編は1万円超えですが)それでも巷に溢れる貧乏グルメに比較して高額な値段設定になっています。それだけに紹介される料理の幅も広いのが特徴です。毎日毎日この金額だと読者の反感を買いそうなのですが「月に一度の贅沢」と設定したことで、無理のないストーリーになっています。
多くの回は奥様との会話でお話は締められます。最終ページ、ほんの少しだけ登場する奥様ですが、恐らく男が考える理想の妻をイメージしています。もちろん彼女が理想の存在になれるのは、主人公の日々の生き方も影響しているのでしょうが。グルメ漫画なのに夫婦仲にばかり注目しちゃう本作、優しい夫婦、優しい家族として、神藤家がずっと過ごせることを願ってやみません。