今回ご紹介するのは渡辺電機(株)著「父娘ぐらし 55歳独身マンガ家が8歳の娘の父親になる話」です。
55歳、独身、ギャグ漫画家。このまま一生、ひとりで生きていくものだと思っていた。
ところが2人の娘をもつ女性との結婚で突然、父となり、思いもよらず小学生の娘との2人暮らしをすることに。
子どもができて、目に見える街並みが、慣れ親しんだ生活が、人生が180度変わった。
娘との生活で経験した驚きと苦労、そして喜びを、飾ることなく本音で綴った著者初のエッセイ漫画。
ずっと独身だろうと思ったまま55歳になった筆者が、二人の連れ子がいる女性と結婚します。諸事情でまず8歳の長女が大阪から単身上京し、父娘は二人暮らしを開始しました。
この物語は、家族が揃うまでの期間、父子家庭状態だった父娘の日常を描いたコミックエッセイです。
これ読んで不覚にも泣いてしまいました(笑)あくまで個人的な理由なんですけど。ぼくもある日突然、5歳の娘の父になった過去があるのですよ。諸々の事情で彼女との親子関係は解消されちゃいましたが(言葉を選んだな!)、あの頃の記憶が甦って、独り読みながら感涙です。
まず何より安堵したのは、8歳のアユちゃんが、新しいパパを受け入れてくれている点でした。その関係性があるからこそ、母親も安心して二人暮らしを選択できたのでしょう。
55歳で8歳の娘がいるのは、さして珍しいことではありません。しかし55歳になっていきなり8歳の父になるというのは、正直稀有な体験ではないでしょうか?将来ぼくがその歳になって8歳の子供ができるとか、恐ろしくて想像すらできません(笑)
父親として何の積み重ねもない人間にとっては、55歳でいきなり父になるってのは、並大抵の覚悟ではなかっただろうと思います。作者の決意には拍手を送りたいです。
ここで救いになるのは、先に書いたようにアユちゃんが父を全面的に信頼してることです。もしアユちゃんが新しい父を受け入れていなければ、かなり厳しい展開になっていたでしょう(こういう書き方をするとぼくと娘の関係が良くなかったっぽいですけど、ウチも驚くほど良好でしたのでご安心ください。関係は解消されましたが!!)
初めての父親体験、初めての二人暮らし、日々発見と驚きで戸惑いながらも、二人は徐々に親子になっていきます。この作品はそんな家族の始まりの物語です。
還暦手前に三人目の子どもが生まれた作者の物語、「還暦子育て日記」も近いうちにご紹介したいと思います。父親も、父親でない人も、そしてかつて父親だったぼくのような特殊な人種にも、ぜひ読んでほしい一冊です。アンリミテッド対応で、会員は無料で読むことができます!