私事で恐縮だが、Kindleの電子書籍は基本的にiPad miniもしくはFire7で見ている。特に写真集や雑誌などは、ほぼこの二つで寝転がって眺めるのが日常だ。
これに対して小説に関してはiPhoneで読むのが常態化している。長時間持って読むには、タブレットは大きすぎるのだ。
このような理由から、写真集はタブレットで見るという概念というか思い込みによって、Mamegohan Digital Publishingの写真集はiPad miniもしくはFire7で最適化されている。最適化、なんて格好良い言葉を使ってはみたが、要するにその二つでしか動作確認していないということだ。
実はこの姿勢に、大きな落とし穴が存在していると最近気づいた(嘘だ、もっともっと以前から気づいてはいたが、放置していただけだ)
プラットホームによって、Mamegohan Digital Publishingの出版は商品としては致命的な欠陥を抱えているのだ。
2018年に第一弾を出版した「OSAKA candid」を例に説明すると、まずこのシリーズはすべて横写真のため、むやみに回転しないよう、ロックをかけた状態で出版している。タブレットを横向きにて見てくださいね!って寸法だ。横向きにしろというのは、シリーズすべて最初のページに書いてある。
この仕様、タブレットやスマホで見るにはまったく問題ないのだが、パソコン版のKindleで見ようとすると問題が発生する。ロックしているため横写真がすべて90度回転した状態で表示されるのだ。PCでOSAKA candidを見るなら、首を直角に傾けるしかない(笑)
もう一つ、こちらの方がより深刻なのだが、解像度の欠陥が生じている。
Kindleと名の付くガジェットでは写真集をこちらの意図した通り見ることはできない。これはそもそも「文字の本を読む」というリフロー型の電子書籍に特化したKindleの仕様なので、Kindleユーザーには諦めてもらうしかない。写真集はスマホアプリ版でオナシャス!って感じだ。
今懸念しているのは、そういうものとは別次元、別の要因で、こちらの意図するクオリティで画像が表示されない現象だ。これもPC版で生じている問題になる。
Mamegohan Digital PublishingのKindle本は、1920px×1200pxもしくは2560px×1600pxのフォーマットだ(スタートした2018年頃は前者だが、最近は後者となっている)解像度はファイルサイズを小さくするために、WEB用の72dpiとなっている。
この書式で基本的にPCでも問題なく見られるのだが、制作環境のPCモニタは3840px×2160pxの4K、129dpiであり、こちらで確認すると特定のページ、具体的には白地バックに書かれた文字が、低解像度の読みづらい表示になってしまうのだ。
チェックしたところすべての本でこの現象が起きる訳ではないが、初期の1920px×1200pxフォーマットで特に顕著なようだ。
文字を使った本も多数あるが、Mamegohan Digital Publishingの本は、一部を除いてどれもリフロー型の電子書籍ではない。文字も含めて「画像」として読み込んでいるのだ。つまりリフロー型である「二人だけのダイアリー」シリーズ以外は、タブレット上で文字をコピーすることはできない仕様となっている。
この文字の画像化に対して、PC版のKindleビューアは非常に弱い。そして原因が単に解像度の問題なのかも分からず、対応のしようがないのが正直なところだ。
勝手なようだが、Mamegohan Digital Publishingの出版物は、タブレットもしくはスマホで見られるのを前提で作っているし、それが我々の考える電子書籍の在り方だとも思っている。当面は現状の方法で編集していく予定だが、それでも原因を究明し、お金を払って購入してくれたPC版のみのユーザーに対しても、誠実な姿勢を示す時期だとも実感している。
どうか我々の出版物は、スマホかタブレットで見てください、お願いしますとしか、今は言いようがない。PC版でしか見られない環境で購入していただいた方には、いずれ何らかの「お詫び本」を出そうかと思案中だ。